AWSの地図サービス、Amazon Location Service を試してみた!(1)概要編

Posted by miya on May 31, 2021 · 1 min read

AWS の位置情報サービス Amazon Location Service を試してみたので何回かに分けて記事にしていきたいと思います。

Amazon Location Service とは?

Amazon Location Service とは、ウェブサイトやアプリケーションで使用されることを想定した地図サービスを中心に、ジオコーダーやバーチャルフェンスなど、位置情報に関連するいくつかのサービスをフルマネージドで提供するサービスのことで、本日現在(2021年5月31日)はプレビュー版として提供されています。

https://aws.amazon.com/jp/location/

提供されるサービスは以下のとおりです。

  • Maps - ウェブサイトやアプリケーションで使用されることを想定した、ベクトルタイルベースの地図サービス。
  • Place indexes - ジオコーダー及び逆ジオコーディングサービス。
  • Geofence collections - 地図上であらかじめ範囲を指定して、たとえばドローンがその場所から出ないようにするための技術であるバーチャルフェンスを登録できるサービス。
  • デバイスの位置情報をトラッキングするためのサービス。

先日 AWS さんから以下のような内容のメールが来ましたので、まもなく本サービスが開始されそうです。

Amazon Location Service をご利用いただきありがとうございます。本サービスのプレビュー期間は、本サービスが一般公開される 2021 年 5 月 以降終了します。プレビュー終了後もサービスを引き続き使用する場合は、下記の料金プランに従って、サービスの無料利用枠を超える利用に応じた料金が請求されます。


2021年6月2日追記

2021年6月2日の早朝(4時頃?)に正式にローンチされましたね。

https://aws.amazon.com/jp/blogs/aws/amazon-location-service-is-now-generally-available-with-new-routing-and-satellite-imagery-capabilities/


料金

料金プランは、以下のページで見ることができます。

https://aws.amazon.com/jp/location/pricing/

パッと見の第一印象は「安い!」ってことでした。

特にジオコーダー及び逆ジオコーダーがすごく安いですね。ちょっと衝撃的です。日本の住所ベンダーのみなさん AWS さんに安く卸しすぎじゃないかな。。。笑

地図についても同様に安いですが、注意点としては Google Maps と料金のカウント方法が違うことで、Google Maps は地図の表示回数に対して課金されますが、Amazon Location ではタイルのダウンロード回数に対して課金されます。

Amazon Location では、地図の表示回数がすくなくても、ユーザーが地図を動かすたびに課金が発生しますので、アプリケーションによっては Google Maps よりも高くなることがありえるかもですね。

その他の特徴

地図屋としてへーと思ったのは、地図やジオコーダーのデータのベンダー(Amazon Location では、Location Provider と呼んでいます。)として、Esri と HERE が選択できるようになっていることです。

以下のスクリーンショットは、Amazon Location で利用可能なデフォルトの地図のスタイルのリストで、Escri、HERE それぞれから、個性の異なる地図のデザインが提供されています。

まず地図サービスを試した

以下のスクリーンショットは、Amazon Location のドキュメントに従って、普通に地図を表示しただけのものです。

Amazon Location では、上述のように Esri 及び HERE が提供するいくつかのスタイルの中から、好きなものを選ぶことができますので、Esri Light というスタイルを選択してみました。

以下は、日本周辺。

東京駅周辺までズームインすると以下のような感じです。

ぱっと気になる点が、地図上の情報のほとんどが英語になっていることです。Mapbox GL JS ベースの地図のスタイルについて詳しくないと日本語化するのは難しそう。。。

あと、コンビニやカフェなどの PoI (Point of Interests) が全体的に貧弱に見えます。これは想定しているユースケースがユーザー自身が持つデータの可視化にフォーカスした結果なのかもと思いました。

Amazon Location は Mapbox GL JS ベースのベクトルタイルという方式の地図なので、レイヤーを自在に追加できます。なので背景用の地図として軽快に表示されることなどを優先した結果なのかもしれません。

カスタマイズしてみた

詳しいやり方は次回の記事以降で詳しくご紹介しますが、カスタマイズ性が高いベクトルタイルという方式なので、Google Maps と比べるとかなり自由にカスタマイズが可能です。

残念ながら情報量がすくないので、ちょっと大変なんですけどね。。。

日本語化

まず、地図上のテキストを日本語化してみました。タイル内に日本語用のデータがあるかどうか不安だったのですが、ちゃんと日本語化できました。

以下のスクリーンショットはオリジナルの状態。

以下は日本語化した状態です。

こんなの簡単そうに思われるかもですが、実際には超めんどくさかったです。笑

情報量を増やしてみた

カフェやコンビニ、ガソリンスタンドなどの情報があると、ユースケースが広がりますので、OpenStreetMap の PoI を弊社の API を利用して追加してみました。

以下は追加前の東京駅周辺の地図。

以下は、弊社 API を利用してカフェやコンビニなどの PoI を追加した地図です。

明らかに情報量が増えたことがわかると思います。

ベクトルタイルなので、こういうふうにレイヤーを追加して自分好みの地図にアレンジすることが可能です。

感想

はじめの方で申し上げましたが、料金の安さには正直びっくりしました。

ただし、以下のような点も気になりました。

  • 情報量がすくないため、カスタマイズのためのハードルがとても高い。
  • ベクトルタイル内のスキーマが公開されていないため、たとえばスタイルをカスタマイズしたときの将来の互換性が不安。どこまでのカスタマイズが許容されるのかな。。。
  • 利用規約の日本語版が機械翻訳?のせいか、プロバイダーの会社名である「HERE」が「ここ」と翻訳されていて、意味不明なことになっています。

まとめ

いかがでしたか?

次回以降の記事では、Amazon Location Service の使い方について解説していきたいと思います。

Amazon Location の導入を検討したい方は、ぜひお問い合わせをください。



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